最近ではあまり使われなくなったといわれることもある「強電」「弱電」という言葉ですが、強電と弱電にはどのような違いがあるのでしょうか?

強電とは?

今現在ではこの強電という言葉も電気設備では「電力系統」と称されることのほうが多くなりました。

強電の定義

強電とは「電気エネルギーの輸送、およびその機械的エネルギー・熱エネルギーへの変換を扱う電気工学の部門の俗称のこと」を指します。

ここでの電気工学というのは電力・電気機器工学などの学問を指します。これに対して電子工学分野部門(電子・通信工学)で弱電という言葉が使用されます。利用目的は、電気設備では電気エネルギーを変電室の配電盤から建物の各部に運ぶ動脈の役割を果たします。このことを電力系統(強電)幹線とも言います。電流・電圧では100V以上の交流を使用します。

 

大きなエネルギーを扱うことから強電とされることもあります。また、おおよそ48V以上からが「強電」、それ未満が「弱電」という分類がされることもありますが、この分類は現在ではあまり明確な境界ではないようです。

強電の定義は俗称であるがゆえに様々あり、この他には感電するかどうかという境界線、大学研究室での定義の違い、会社の文化で定義の違いがあったりと様々です。

つまるところ、この「強電」という言葉はエネルギーの利用を目的として電気諸量を取り扱う技術などのことを指すということには変わりはないでしょう。比較的大容量の電気であるということでいいでしょう。

強電の具体例

そんな強電は冷蔵庫、電灯やエレベーターなど身近なことろに存在しています。電気設備でいうと、「電灯設備」、「動力設備」、「受変電設備」、「幹線設備」、「自家発電設備」、「避雷設備」という設備が強電設備とされることがあります。

次に強電と相反する「弱電」という言葉についての意味についてを見ていきましょう。

弱電とは?

弱電の定義

弱電とは、電気の利用方法として、通信、制御、情報に関する電気分野を指す用語です。強電が電気工学なのに対し、弱電は理論的には電子工学になります。電流・電圧では12V以下の直流を使用します。

 

そもそも強電と弱電の違いはその利用目的によって便宜的に分類するための

用語でした。

弱電における利用目的は電気設備では情報・信号をコントロールしている中心部から建物の必要部分に運ぶ動脈のことを言います。このことを弱電系統幹線とも言います。

また、弱電は感電しない(強電に対して)電気であるとする場合もあります。固定電話の電線を抜いても感電することはりませんし、わかりやすい定義でしょう。

弱電は非常に多くの施設や製品で使用される幅広い電気なのです。強電に比べて小容量の電気を使用するのが「弱電」といえるでしょう。

弱電の具体例

代表的な弱電の例は電話でしょう。他にはテレビ、ラジオ、ステレオコンピューターなども弱電の部類になります。通信技術を使用するものは弱電と分類されることがあります。

電気設備でいえば数多くの設備が弱電に当たります。例えば、「中央監視制御設備」、「電話設備」「電気時計」、「拡声設備」、「表示設備」、「インターホン」、「自動車管制設備」、「情報配線設備」、「火災報知設備」、「自動閉鎖設備」、「非常警報設備」、「ガス漏れ警報設備」など幅広い設備で弱電は使用されています。